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2007年 12月 11日
『部屋 Living Room, Tokyo』瀬戸正人


 瀬戸正人『部屋:Living Room, Tokyo』新潮社刊。1996年、モノクロ。
 
 ずーっと探していた瀬戸正人さんの『Living Room, Tokyo』を見つけた。オンラインの古書店ではときどき見かけるんだけど、8mにも及ぶ一枚紙を折り畳んで一冊の本にするという特殊な製本のために中身を見ないで買うのはちょっとリスキーだった。実際、吉祥寺の古書店で見たやつはページがボロボロに折られていて、これはちょっと無理っていう感じだった。
 
 本書は東京に住む様々な人の部屋を本人とともに写したという構成。部屋はきっちり片付けてライティングもばっちり、住人はくつろいでいるポーズをとっているという、通販のカタログのような明解な写真。でも地方出身者や外国人の生活を密着レポート…なんていうよくあるドキュメントものではない。
 
 例えば外国人の生活をルポする場合に、日本の雑誌やインスタントラーメンが散乱しているとそこで暮らす生々しさが出しやすいけど、生活そのものに関心が向かうおそれがある。そこで作家はあえて日常における流動的な部分を排し、整理して撮ることによって、部屋と人との関係を浮かび上がらせているのではないかと思う。
 
 さらにそれが途切れることなく絵巻もののように並んでいるさまは、異次元の扉を開けたような感覚(しかも住人はこちらに向かって微笑みかけていたりポーズをとっていたり)で、本当にインパクトがある。
 
 ちなみに瀬戸さんは電車の中で無表情に座る女性を至近距離で撮影した『Silent Mode』とともに第21回木村伊兵衛賞を受賞している。『部屋:Living Room, Tokyo』も『Silent Mode』もそうなんだけど、着想の奇抜さだけに終わらず、それらが写真の特質を最大限に引き出すテーマに昇華しているところが素晴らしい。
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by yas_tak | 2007-12-11 23:54 | 写真集 | Comments(0)
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