2008年 07月 26日
本橋成一『サーカスの時間』筑摩書房刊。1980年、モノクロ。 帯には「本邦初のサーカス写真集」となっている。本橋成一さんの仕事であるから、サーカス写真といってもボリショイやらシルク・ド・ソレイユのド派手なパフォーマンスをデジタル一眼で連写するようなものではない。旅から旅へ町はずれの空き地にテントをかけて興行するサーカス団。楽しくて、おかしくて、どっかいかがわしくてもの悲しい。華やかなステージと舞台裏、固唾を飲んで見守る観客、夕闇に包まれるテント・・・「サーカスの時間」をモノクロで優しく追いかける。 サーカスが街にやってくるというと、遠くの方からマーチが聞こえてきたりとか、ピエロがビラを配りにきたりとか、一団の子供は1ヶ月ですぐ転校してしまうとか。怪しげな都市伝説としては、遅くまで遊んでいるとピエロにさらわれるとか、身体を柔らかくするために酢を飲まされるとか。我々にあらゆる非日常をもたらしてくれるサーカスの、その中で暮らしている人々にとってはサーカスこそが日常であるというのがレンズを通して伝わってくる。 小学生の頃、木下大サーカスとかキグレサーカスに何回か連れて行ってもらったことがある。綱渡りや空中ブランコ、オートバイが金属のカゴの中でぐるぐる回っているシーンとかが印象に残っている。そういやサーカステントの周りはいつもぬかるんでいた。 『サーカスの時間』については、以前にJCIIの写真展のパンフレットを紹介しています。そちらも合わせてどうぞ。 http://neverbb.exblog.jp/5767959
by yas_tak
| 2008-07-26 23:32
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