カテゴリ:写真集( 135 )


2015年 04月 05日

『The Sweet Flypaper of Life』Roy DeCarava, Langston Hughes

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 Roy DeCarava写真、Langston Hughes文『The Sweet Flypaper of Life』、Howard University Press、1984年、モノクロ、ハードカバー。Roy DeCaravaが生まれ育ったハーレムを撮った写真に作家のLangston Hughesがストーリーを添えている。

 オリジナルは1955年に出版された小ぶりなソフトカバーだった。その後、確認できるだけで1967年、1984年に再版されている。特に1984年に出た本書はハードカバーになり判型も大きくなった。

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 犯罪と貧困の街というイメージだった当時のハーレムを題材にしつつ、本書は語り部である老婦人の目を通してこの街に住む人々の明るく楽しい日常を描いている。どのような場所にでも希望はあり、楽しみがある。本書が出版された1950年代のアメリカというと公民権運動のまっただ中であり、各地で様々な事件が起こっている。そういう重苦しい空気の中、本書が示した希望はいかばかりのものであったのか。

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 オリジナルが手に取りやすいペーパーバックのような装丁で出版されたのは多くの人に読んで欲しいという作者の願いかもしれない。

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 最後のカットは語り部の老婦人。
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by yas_tak | 2015-04-05 10:36 | 写真集 | Comments(0)
2015年 04月 01日

『Photographs by a Russian Writer Leonid Andreyev』

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 Leonid Andreyev『Photographs by a Russian Writer Leonid Andreyev: An Undiscovered Portrait of Pre-Revolutionary Russia』、Thames & Hudson刊、1989年、カラー。

 
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 露作家レオニド・アンドレーエフの残した写真。近しい人のポートレートがカラーで撮影されている。著名な作家のプライベート写真であるということと、100年以上前、ロシア革命以前に撮影されたカラー(後から彩色されたものではない)というのがポイント。当時のカラー写真はオートクロームという手法で、三原色に染色したデンプン細粒を適当な割合に混合してガラス板上に撒布し、ニス加工をした上にパンクロ乳剤を塗布して製作するというものだった。オートクロームの特許がとられたのが1903年でカラー乾板として一般的に販売され始めたのが1907年だったとか。で、その後1930年代に入ってコダクロームが登場するという流れ。

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 資料的価値もさることながら、表紙にもなっている息子さんの肖像やセルフポートレートなど、被写体の内面に迫るかのような写真表現が素晴らしい。構図や光の使い方が絵画っぽい。
 
 20世紀初頭のロシアのカラー写真というと皇帝ニコライ2世が国威発揚のために帝国内のあちこちを撮影させたものが有名で、ちょっとぐぐってもそっちばかりヒットする。

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by yas_tak | 2015-04-01 06:19 | 写真集 | Comments(0)
2015年 03月 25日

『津軽 詩・文・写真集』小島一郎

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 小島一郎『津軽 詩・文・写真集』、IZU PHOTO MUSEUM刊、2014年、モノクロ。2014年の没後50周年の展示会に合わせて刊行された復刻版写真集。オリジナルは50年前に新潮社から出ていた。

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 小島一郎のプリントは、「中間調の出ないミニコピーフィルムを用いるなど複雑化した技法と造形的要素を強めた下北の写真が眼を惹」く(IZU PHOTO MUSEUMの展覧会の案内より)とあるように、超微粒子のハイコントラスト画像なので通常の印刷方法では再現しにくい。今回の復刻ではそこにもこだわりをみせ、最新の高精細印刷技術を投入して、小島一郎のプリントを追求している。

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 ちなみに50年前に出版されたオリジナルはどうだったのかというとやはりものすごい高精細のグラビア印刷で、というか今回はそれの再現なのだから当然なのだが、黒々としたインクの乗りも強烈で見る者を圧倒する。機会があればオリジナルも見ておきたいところ。

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by yas_tak | 2015-03-25 06:31 | 写真集 | Comments(0)
2015年 03月 21日

『Any Given Day』岡原功祐

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 岡原功祐『Any Given Day』、2013年、モノクロ、限定500部。かつて半端なフィクションより凶悪・残虐なネタを提供し続けた麻薬組織メデジン・カルテル、その発祥の街メデジン。本書はメデジンの深部に入り込みリポートしたもの。

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 せっかくメデジンのスラムから戻ってきたのだからもっとセンセーショナルな売り方もできたであろうに、作者はそうはせずコンタクトシートにダーマトで印をつけたものをそのまま本にしている。何らかの商談中であったり、道路にドス黒い染みがついていたり、白い布でくるまれた何かであったり、濃密な時間が流れていることはすぐに想像がつくのだが、それをさりげなくまとめてホチキスでとめて一部1200円ですなんて。

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 大きく伸ばせない理由はいろいろあると思う。単純に残酷な場面、写ってはまずい人が写っている場面…などなど。下手すると拘束されるどころかその場にいなかったことにされてしまう。


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  危険なところにいってスクープをものにしてきましたではない、そのような過酷な環境にも同じく朝が来て夜が来て人々が生活している、そういうことを考えさせられる。筒井康隆の「驚愕の曠野」という小説を思い出した。
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by yas_tak | 2015-03-21 08:16 | 写真集 | Comments(2)
2015年 03月 14日

『In My Taxi: New York after hours』Ryan Weideman

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 Ryan Weideman『In My Taxi: New York after hours』、Thunder's Mouth Press刊、1991年、モノクロ。1980年、Ryan Weidemanはストリートスナップを撮るためにNYに出てきた。当面の生活費を稼ぐためにタクシードライバーを始め、夕方五時から翌朝までのシフトでNYの街を走ることになった。本書はそのときに乗せたお客さんを撮った写真集。

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 ソフトカバーで50ページくらいの小ぶりな写真集だが、写真は見開きで掲載されているので見応えがある。パンクロッカーからビジネスマン、マフィア、上流社会の人などいろいろな人が乗ってくるので飽きない。いかにも80年代のNYって感じだ。
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 整備風景。ハリウッドの映画でさんざん見ているおなじみのタクシー。
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 オチはこのショット。後部座席の鎮座する丸顔のおっちゃん、ニョロニョロの文字。アレン・ギンズバーグが乗っている!手渡している紙切れがここに掲載されているキャプションかな。
『Snapshot Poetics』Allen Ginsberg:http://neverbb.exblog.jp/21556082/
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by yas_tak | 2015-03-14 08:36 | 写真集 | Comments(0)
2015年 03月 12日

『Almost Paradise』岡原功祐

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 岡原功祐『Almost Paradise』、Only Photography刊、2014年、モノクロ。

 パナマ、コスタリカ、ニカラグア、ホンジュラス、エルサルバドール、グアテマラ、メキシコといったルートを経由し、アメリカに不法入国しようとする主にコロンビア人たちを密着取材した写真集。全編フィルムで撮影。ライカだったかな。

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 彼の作品全体からうかがえるのは、貧困や犯罪を告発しようとかそういうありきたりのジャーナリズムではなく、もっと個人的な視点で被写体に迫っているのではないかということ。

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 不法入国や麻薬カルテルに支配されている町など扱っているテーマが強烈なので、ついマクロな政治経済問題に持って行かれがちであるけど、本書の主題はそれではない。

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 彼がレンズを向けるのはその場所ではそうやって生きていくしかないという人々の生き様であり、そこで見せる表情だ。踏みとどまるのか脱出するのか、どこまでも被写体に寄り添い状況を記録していく。

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 深夜、走っている貨物列車に飛び乗る!
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 飛び乗る!このとき命を落とす者も多く、線路脇には小さなお墓がある。
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 国境の河を超える。
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・・・on route to padarise
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by yas_tak | 2015-03-12 06:23 | 写真集 | Comments(0)
2015年 02月 22日

『Meine Welt』Arnold Odermatt

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Arnold Odermatt『Meine Welt』、Benteili刊、1993年、カラー、モノクロ。

 スイスの写真家Arnold Odermattの写真集。Odermattはスイスで警察官を務めながらスナップ写真を撮り続けた。
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退職後、息子さん(映像関連のディレクターらしい)に、カラーの風景写真で写真集を作りたいんだけどと相談したところ、そんなありふれた物を作るよりも何かもっと警官だったキャリアを活かしたようなものの方がいいんじゃないかとアドバイス。じゃあこんな感じかなーって出してきたネガを見て息子さんはびっくり、斯くして彼の写真が広く世間に知られるようになった。
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 Odermattを有名にしたのはモノクロの交通事故現場のシリーズだ。元は事故報告書の追加資料として、個人的にローライで撮影した写真をつけていたものだった。現場に駆けつけた警官が二眼レフをぶら下げているので、周囲になんじゃこいつと思われていたとか。
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 当時、スイスの警察では現場検証に写真をつけるということがなかったので、Odermattの報告書は警察資料として先駆的なものとなったらしい。ビートルが転んだりひしゃげたりいていて大変な事故であるのは分かるんだけど、事故で負傷した人とかは写っておらず、どことなくユーモアを感じてしまう。
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 本書は警察ネタのみならず彼の業績全体を総括したものとなっている。どれも全体の構成を意識したきまじめなスナップだ。
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by yas_tak | 2015-02-22 08:30 | 写真集 | Comments(2)
2015年 02月 14日

『Snapshot Poetics』Allen Ginsberg

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 Allen Ginsberg『Snapshot Poetics』、Chronicle Books刊、1993年、モノクロ。ビートニクを代表する詩人アレン・ギンズバーグが13ドルで買った中古のレチナで知人を撮ったスナップショットをまとめた本。当然、写っている人もそっち関係の濃いヒトばっかり。
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 只者ではない存在感を漂わせるバロウズ。バロウズというと、仕立てのいいスーツを着た白人のじいさんがヘロインでめろめろになっているイメージ。この頃はまだじいさんじゃないけど。

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 ロックミュージシャンがオフステージを撮ったスナップとか、濃い~人たちが仲間同士リラックスして写っている写真って、それだけで眺める価値がある。特にビートニク関係なんて妖怪みたいな人が多い(という勝手なイメージ)ので余計にそう感じる。

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 アベドン。
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 ルー・リード。
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 ロバート・フランクと息子さん。
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 ギンズバーグのニョロニョロした手書きのキャプションもいい味だしている。
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by yas_tak | 2015-02-14 08:19 | 写真集 | Comments(0)
2014年 09月 23日

『David Hurn/ Photographs, 1956-1976』David Hurn

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 David Hurn『David Hurn / Photographs, 1956-1976』Arts Council of Great Britain刊、1979年、モノクロ。マグナムの写真家、デビッド・ハーンの写真集。1956年のハンガリー動乱を取材して名声を得て、その後も社会的テーマからファッション、映画のスチール写真まで幅広く活躍し、一流の報道写真家として国際的な地位を確立した。
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 本書は1955年のデビューから、大学で教鞭を執るようになって報道写真を中断する1970年末までの作品を集めたもので、彼のキャリアからして中締めとするには小ぶりな写真集だ。マグナムで活躍していた人だからもっと撮ってるだろうと思うのだが、お気に入りのものを厳選してまとめたものなのか。
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 その後、1990年に長かった教員生活にピリオドを打って再び写真家として再スタートしている。地元のウェールズを撮った写真集が何点が出ているようで(「Wales - Land of My Father」、「Living in Wales」など)、ちょっと気になっているので見かけたら教えて下さい。
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 ちなみに本書は神保町の古書店で見つけたとき、「デビッド・バーン写真集」だと思って手に取った。そうかそうかトーキングヘッズのデビッドも写真撮ってたよなあと思って、中身も確認せずに買ってしまったのだ。あまりにシリアスな作風でびっくりして、タイトル確認したら「デビッド・ハーン」だったのだ。
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by yas_tak | 2014-09-23 10:44 | 写真集 | Comments(0)
2014年 09月 21日

『Wonder Land 1990-1999』大西みつぐ

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 大西みつぐ『Wonder Land 1990-1999』、Mole刊、1999年、モノクロ。ワンダーランドシリーズの2冊目。一冊目はモールの前身であるFROGから出ていて今では相当のプレミアがついている。3冊目は2008年に日本カメラ社から刊行、そっちは普通に買うことができる。今、パラパラと見たら本書と3冊目の本とではかぶっている写真があるな。
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 大西さんは東京都の東側をメインに撮っており、市川に住んでいる自分に撮ってもなじみの深い地名が多い。東京でも大阪でもそうだけど、市内の本当の中心部は再開発されし尽くされており、かつての下町っぽい光景は周辺部の方がよく保存されている。
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 何気ない日常の中に突如現れる夢のような光景。ほんの一瞬のことなので写真に撮らないと確認すらできないのだが、それを見過ごさないのが写真家の本領。流れる時間を微分して瞬間瞬間でとらえていく。
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by yas_tak | 2014-09-21 08:42 | 写真集 | Comments(0)