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2008年 05月 03日

『1939-1946 Heber Springs Portraits』Mike Disfarmer

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 Mike Disfarmer『1939-1946 Heber Springs Portraits』Twin Palms Pub刊。モノクロ、1996年。

 Mike Disfarmer(1884-1959)はアーカーソン州ハーバースプリングスで写真館を開業していた営業写真屋さんで、いわゆる写真家ではない。家族写真や卒業写真、第1、2次大戦に出征していく兵士などを撮影し、最盛期にはスタジオの前に行列ができるほどだったらしい。どういうきっかけか知らないけど、Disfarmerが撮り続けたポートレートが突如再評価され何冊か写真集が刊行されている。Disfarmerが写真館を開いていたのは1917年から亡くなるまでということだから、彼の撮った写真には、20世紀前半のハーバースプリングス(田舎の小さな町らしい)に生きた人々の営みがぎゅっと凝縮しているような感じがある。
 
 Disfarmer自体は相当偏屈なおじさんだったらしい。ドイツ系の移民であった彼は、元の名字であるMayerがドイツ語で“日雇い農民”であることを知って、“農民ではない”という意味のDisfarmerに改名したとか、奇人変人ぶりを伝えるエピソードが色々残っている。窓から差し込む柔らかな自然光の中、自分の理想とする光線が来るまでいつまでもシャッタを切らないので、小一時間もカメラの前に座らせられることもあったというのもすごい。それがかえってカメラを意識しないリラックスした瞬間を演出したとも考えられないこともないけど、いずれにしてもジョークで雰囲気を和ませるようなタイプの写真屋さんでなかったのは分かる。
 
 作品目的ではない写真が突如脚光を浴びるというのはラルティーグやアッジェに似たものを感じる。写真で生計を立てていたという点ではアッジェの方が近いか。どういう目的で撮られたかに関係なく、写真そのものに力があれば作品として息を吹き返すのが、写真の面白い&奥深いところ。
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by yas_tak | 2008-05-03 12:48 | 写真集


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